技術部ニュース No.3

抵抗特集②
こんにちは主任。
こんにちは。今回も抵抗の話です。
前回はカラーコードでしたけど、抵抗ってそんなに話題が豊富なんですか?
ごくオーソドックスな部品で、単純な部品に見えますが、奥は深いです。
私自身最近知ったことも多く、抵抗には勉強させられます。
抵抗のばらつきの原因の要因にはどのようなものがあるか知っていますか?
初期ばらつきで許容差がJ級やF級とうのがあります。
そうですね。
それと温度特性である抵抗温度係数TCRがあります。
これは温度が1℃変化すると、抵抗値がどれくらい変化するかという割合です。
通常使う角板形の厚膜のメタルグレーズ抵抗で±200位、同じ材質で高精度なもので±50位です。薄膜でさらに精度の高いものでは±5位まであります。
TCR200というのは100℃の温度変化で、抵抗値が2%変化するということです。
2%ならあまり大きくないのでは?
うーん、これが炭素皮膜抵抗等では、TCR1300何というのもあるため、十数%の変化となります。
また、高ゲインの増幅回路では高精度抵抗といえども影響が無視できなくなります。
初期ばらつきを選別で揃えるのは比較的簡単です。
同じ基板で使用している抵抗のTCRが同じ傾向であればあまり問題は発生しません。
実際にはTCRは抵抗器の個別、シリーズ毎、基板上の抵抗の自己発熱や温度分布、接続点の抵抗により性能変化に影響します。自己発熱の影響を排除するには、高いW(ワット)数の抵抗を使用するのも手です。
他にも影響する要素がありますか?
高周波回路の場合は、リード線インダクタンス、周囲部品との静電容量の影響も受けます。巻線抵抗器が特に問題となり、普通型(誘導のあるもの)と無誘導型がありますが、無誘導型でも若干のインダクタンスを示します。
金属箔抵抗器はリアクタンスが大きい場合があります。また、異種の金属の接合点では熱起電力が発生します
熱電対と同じですね?
他に、熱ノイズ、電流ノイズというものもあります。
電流ノイズは直流電流が、例えばカーボン抵抗のような不連続媒体を通して流れる場合に生じます。電流は圧縮されたカーボンの細粒を通して不均一に流れ、細粒と細粒との間で顕微鏡的なアークが発生し、これがノイズとなります。
カーボン抵抗器がもっとも悪く、炭素皮膜抵抗器、金属皮膜抵抗器の順に良くなります。
抵抗器の破壊のメカニズムについても知っておくと良いです。
カーボン抵抗器は破壊した場合、オープンとなるので安全です。したがって、この種の部品は二次的にヒューズの役目を果たすことができます。一方、カーボン・フィルム抵抗器が破壊した場合にはショートとなるので危険です。金属フィルムの抵抗器の場合はオープンとなります。
電蝕断線を気にされるお客様もいます。
金属皮膜抵抗器の場合、金属皮膜が電蝕に弱い材質を使用している為、基板実装時にイオン性物質が付着しないような注意が必要です。また、抵抗メーカーも電蝕の原因となる外部からの水分の浸入を防ぐ耐湿性改善を抵抗器に対して施しているとのことです。
抵抗メーカーも苦労しているんですね?
エルテックはKOAの代理店です。メーカーと共に勉強していきましょう。